2009年6月23日火曜日

目で見る失われた10年

昨年秋からの経済危機は、取りあえず不況というより平常な状態に移行し、
金融システムの小康感、工業国の在庫調整の減産ペースの緩和で、景気が底打ちしたとの
見方が紙上、報道などで見られ、やれやれまずは一安心か、という雰囲気である。

取りあえず、一時的には危機は去った(かに見える)。
しかし、今後は持続的な成長が見込めるのかというと、どうもはっきしない。
GDPがどうのこうのよりも、実際に我々がどの程度の所得を得られるのか、の方が
庶民にとってはより可視的で現実感のある数字だと思う。
先のことは分からないので、これまでのトレンドとして経済危機前の所得の推移を
確認してみたい。下記の表によると、バブル崩壊後一貫して「世帯の」収入が減少している
ことがはっきりと見て取れる。当時より共働きの世帯は確実に増えているにも関わらず、だ。



40台以上の人たちは、バブル崩壊前の恩恵を年功序列という形で受け取る機会があった。
一方で、若者たちにとってはバブルなんて「嘘みたいなホントの話」に過ぎず、
その時の放埓の結果がその後の長期停滞を招いたのだから、食べ放題パーティーの
後片付けだけをやらされているようなものだ。
ほとんどの20台~30台前半の若者達は、もう自分達の親世代の様な消費は出来ないことに
気が付いている。金額の大きい出費としては、自家用車離れは既にはっきりした数字に
なって表れている。不動産の購入も、定年までのローンなんておっかなくて組めないし、
私立の教育機関を前提とするなら子供も一人が限界だろう。
住んでいる地域や両親の経済状態にもよると思うが、実質破綻している国家財政を考えても、
どうしても先の長い若者はリスク回避優先にならざるを得ない。
若者の票と財布を狙う企業や政治家も、そのへんを理解してマーケティングする
必要があるだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿